1 事実の意味
ここで事実とは,客観的な事実を意味します。
主観を入れない,客観的事実です。
2 裁判とは,事実に対する法的評価のこと
裁判は,扱う事件が,民事事件であれ,刑事事件であれ,あるいは離婚などの家事事件であれ,事実に法律を適用して,犯罪の成否,権利の有無を判断・評価することです。
3 事実が変わると,結論が変わる。
ですから,事実が変わると,結論は変わります。
甲のした行動がAであったとした場合は有罪になるが,裁判での審理の結果,甲の行動はAではなくBであったという場合は無罪になる,ということもあるのです。
4 日常生活でも
親が息子を叱ります。息子がCという事実をした,と他人の口から聞いたからです。
しかし,息子に訊くと,息子はCではなくDをしたことが分かり,親は叱ったことを後悔する,ということもあるのです。
5 事実を前提に世の中は動く
裁判も,親の子に対する態度も,いえ,世間の動きのすべてが,事実を前提に動いているのです。
6 事実の重要性
ですから,事実,間違いのない事実,主観の混じっていない事実は重要です。
7 事実を伝えるときの注意
事実を伝えるときは,主観を入れないことです。
推測を語る場合は,事実と推測を分けて伝えることが必要です。
見聞きした事実に推測,憶測などを加え,事実を膨らませて語ると,それを聞いた親が子を叱るなどの間違いを起こしますので,そのような場合,事実はEまでで,Fの部分は私の憶測だとして伝えることが必要になるのです。
8 直筆と曲筆
直筆とは,広辞苑によりますと,事柄を隠さずありのまま書くこと。
また,その文,とされています。
その逆が曲筆です。曲筆とは,事実を曲げて書くこと。
また,その文,のことです。舞文(ぶぶん)という言葉も曲筆と同じ意味です。
舞文曲筆を弄する,などは,人の道から外れます。
大切なことは,事実をありのまま書くこと,直筆です。