雇用保険とは,労働者が失業した場合等に,必要な給付がなされる制度です。
失業等給付としては,
①求職者給付
②就職促進給付
③教育訓練給付
④雇用継続給付
がありますが,雇用関係にある労働者ならすべての人について適用されますが,パートタイマー(短時間労働被保険者)は一定の要件が必要となり,65歳以降に新たに雇用された人などは適用対象外となります。
①の求職者給付について説明しますと,
イ 休職者給付とは,失業した場合の失業保険のことです。
ここで,失業とは「積極的に就職しようとする意思といつでも就職できる能力があり,就職活動をしているのにもかかわらず就職できない状態」のことを言います。なお,病気や妊娠・出産,結婚による家事業への専念などの事情で退職した人が,就職の意思もないのに,公共職業安定所に虚偽の申告をして求職者給付を受けた場合は,罰則としてその金額の3倍を返還しなければなりません。
ロ 求職者給付を申請するためには住所地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に次の書類を提出し,求職の申し込みをする必要があります。
a 雇用保険被保険者離職票1通
b 離職票2通
c 雇用保険被保険者証
d 印鑑
e 運転免許証や住民賞の写しや住民基本台帳カード(住所・氏名・年齢が確認できるもの)
f 写真一枚(縦3cm×横2.5cmの正面上半身のもの)
g 本人名義の普通預金通帳(郵便局,外資系銀行,インターネットバンクなどを除く)
ハ 給付には時間的な制限があります。
倒産や人員整理など会社の都合による解雇や定年などにより離職した人は,ハローワークに行き,離職票の提出と求職の申し込みを行った日(受給資格決定日)から7日の間の待機と呼ばれる期間が経過した日の翌日から支払われますが,会社の都合ではなく自己都合により離職した人や自己の責任による重大な理由により解雇された人は待機の後,さらに3ヶ月経過した日の翌日から支給が開始されます。
ニ 給付の日数は被保険者期間によって,分けられます。
一般受給資格者(定年退職や自己意思により離職した人)は被保険者期間によって,給付日数が違ってきます。
被保険者期間が10年未満で90日,10年以上20年未満で120日,20年以上で150日の給付を受けることができます。
特定受給者(倒産や解雇により離職した人)は最長で240日,障害者の場合は最長で360日の給付を受けることができます。
ホ 求職者給付を受けている間,求職の申し込みを行った公共職業安定所に受給資格決定日から4週間に一度の割合で出頭し,失業認定を受ける必要があります。
この失業認定で失業と認定された日数分の求職者給付が支給されます。
ヘ 求職者給付で受けられる1日あたりの金額を基本手当日額と呼びます。
これは原則として離職した日の直前6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額のおよそ5~8割(60~64歳は4.5~8割)となっています。