内職商法とは,業者から一定の商品(例:軽トラック)を購入すれば,それを使った仕事を提供し,一定の収入(例:月40万円)を得させる約束して商品を購入させたものの,
(1)仕事を提供しない,
(2)仕事を提供しても約束の収入を得ることが出来ない,
(3)約束の収入を得ても継続してその収入を得ることができない,等の被害を与える商法をいいます。
これによる被害者救済の法理論は,業者に対しては,
(1) 内職商法を詐欺による法律行為として,その取消を認め,業者からの請求拒否,業者に対する既払額の返還を認める考え
(2) 消費者契約法5条違反行為として取消を認める理論があります。
クレジット会社に対しては,
(1) 業者の行為を詐欺による契約として取消し,それをクレジット会社に対抗しうる(抗弁権の接続)理論
(2) クレジット契約そのものを消費者契約法違反として取り消す理論があります。
(3) 特定商取引法58条の2により取消す理論もあります。
【裁判例】
・軽貨物運送を独立開業すれば月40万円以上の収入を上げることが出来るというセールストークで応募者を募った商法について,大阪地裁平成12.3.31判決は,この商法は詐欺になるとして取消を認め,クレジット会社に対しては,抗弁権接続による支払拒否を認めています。
・パソコン内職商法事件で,大阪簡裁平成16.1.9判決は,被害者が,業者を通じて結んだクレジット契約は,購入物を利用して収入を得て,その収入でクレジット代金を支払うことが契約の主たる内容になっているので,その収入がいくらになるかは消費者契約法4条4項2号にいう「その他の取引条件」にあたり,同条2項にいう「重要事項」になるとして,クレジット契約の取消を認め,クレジット会社に対する既払金の返還請求を認めています。