1 被告適格の変更(行政庁から国又は公共団体に)
これまで,行政処分の効力を争うため訴訟を起こす場合は,当該行政処分をした行政庁を被告にしなければならなかったのですが,改正法は,これを,当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体に提起することに変更しました(法11条)。
この制度は,一般に,たいへん評価されています。
①これまでは,被告つまり処分をした行政庁が分かり難く,被告を間違えるリスクがあったのがなくなったことと,②抗告訴訟の被告と当事者訴訟の被告が同一になったことから,抗告訴訟から当事者訴訟への変更が,かつては,訴えの取下げと新訴の提起が必要だったのが,訴えの変更ですますことができるようになったことなど,ずいぶん便利になったからです。
2 裁判所の釈明処分権限の拡大
改正行政事件訴訟法は,23条の2を新設し,裁判所に,
①行政処分の理由を明らかにする資料の提出を求める権限,
②審査請求を経た事件については,記録の提出を求める権限
を定めました。これらにより,裁判所は,立証上不利な立場にあるとされている住民側を配慮した訴訟指揮が可能になりました。
3 管轄裁判所の拡大
4 訴え提起期間の伸長(3ヶ月間から6ヶ月間)
5 出訴期間等の情報提供(教示)制度の新設
などです。