養子は,相続権に関しては実子と同じ権利があります。しかしながら,養子縁組が本来の目的に反して結ばれた場合,その養子縁組は無効とされ,養子には相続権が認められません。
相続が始まって,登記をするために亡くなった人(被相続人といいます。)の身分関係を調べていったら,え?これは何?という感じで遠い遠い昔に入籍した養子の存在を発見することがありますが,判例は,婚姻をする女性の家格を引上げる目的で養子にすることや,法定推定家督相続人たる女性を婚姻等の目的で去家させるため便宜上他男を養子とする縁組,学区制を免れ進学率のよい学校へ転校するためにのみ行われた養子縁組は,いずれも,養親と養子との間に,親子の関係を作る意思があったとは認められず,養子縁組は無効,したがって,そのような養子は戸籍に記載があっても相続人にはなりえない,としています。