宅地建物取引業とは,営利の目的で反復継続して行う意思のもとに(最高裁判所昭和49.12.16判決),宅地・建物の売買・交換または,宅地・建物の売買・交換・貸借の代理・媒介の全部又は一部をする行為をなすこと,です。なお,建物は建物の一部も含まれます。
免許を受けない者は,宅地建物取引業を営んではなりません(宅地建物取引業法12)。免許のない者が宅地建物取引業をしますと,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処され,又はこれを併科されることになります(同法79)。
では,「営利の目的で反復継続して行う意思」とは何でしょうか?
(1) 1回の造成による宅地の分譲
最高裁S49.12.16判決の事例は,お寺の住職が,お寺の伽藍を建立する資金にするためにお寺所有の山林を60区画の宅地に造成して,一般の人を対象に広告までして,いわゆる分譲住宅として販売した事案で,お寺の住職のをした行為は,無免許宅地建物取引と判示して,上告棄却(罰金30万円が確定)しました。
この事案は,1回の宅地造成による分譲ですが,区画割りして複数の人に分譲する点で,反復継続の意思が認定されております。
行政実例も,不特定多数の者を対象として広告し,各区画毎に分譲する場合には,宅地建物取引業にあたる,としています。
(2) マンションの分譲
マンションの分譲も全く同じです。
建物を建築し,その一部を区画して不特定多数の者に広告をし,各区画毎に分譲する場合,それがたとえ一棟の建物でも,各区画毎に分譲する場合は,宅地建物取引業に該当すると解される,というのが行政解釈です(S40.7.23建設省計画局50号)。
ただ,同じ分譲でも,特定の人に,しかも,利益目的でない分譲の場合は,宅地建物取引業に該当しません。