農業協同組合の組合員である父が死亡しましたが,組合は相続人の加入を拒否しました。こんなのありなの?

はい。
あり,なのです。

民法678条や,農業協同組合法22条では,組合員は,死亡によって脱退するものと定めています。

最高裁判所昭和33年2月13日判決は,「組合員の死亡を脱退の原因とした所以のものは,死亡した組合員の相続人をして,当然に組合員たる権利義務を承継せしめることが,組合員相互間の信頼関係を破ることとなるのを慮かつたもの」であると言っておりますので,組合員の死亡で,その組合員は組合を脱退したことになり,相続人が組合員になるものではありません。

組合は,相続人から新規に組合への加入を求めてきたときに,「組合員相互間の信頼関係を破ることとなるのを慮かった」上で,認めるかどうかを判断することになりますが,法的には,相続人であることで有利になることはありません。